民法改正 債務不履行
新法では、債務不履行による損害賠償の債務者の帰責事由について、「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断することになります。
これは、当事者の意思、契約の目的及び契約締結に至った経緯等の一切の事情を考慮して判断されるということになります。よって、現行法による、単なる債務者の過失の概念とは少し違った判断になると思われますので、契約の目的や経緯等を判断できるような条項を契約書に明記するなどの対応を取るべき場合がでてくることと思われます。
また、この契約の目的、内容及び取引上の社会通念に照らして判断するという規定は、新民法でいくつか採用されているので、注意しておくべきかと思われます。
2項では、どのような場合に債務の履行に代わる損害賠償を請求することができるのかが明文化されています。
第415条 (債務不履行による損害賠償)
1項 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2項 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
1 債務の履行が不能であるとき。
2 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
3 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。