民法改正 法定利率
現行民法の法定利率は固定制の年5%ですが、新民法では変動制の年3%に変更されます。下記に条文を記載しておりますが、簡単に解説すると、3年ごとに法定利率を見直し(3項)、過去5年間の銀行の短期貸付金利の平均を基準割合とし(5項)、見直しする時の法定利率と基準割合の差が1%以上あれば加減する(4項)とされました。(※ただし、1%未満の端数は無視して計算する。)
自ら計算する必要はありません。3年ごとに法定利率は告示されるので、その利率を確認することが重要になってきます。なお、この改正に伴い商事利率(商法514条)の年6%は廃止されます。
また、交通事故等の後遺障害による損害賠償請求において、将来得られたであろう利益を前もって一括で支払う場合、実務では、前もって受け取ることができるのであるから、法定利率分は差し引いて支払う(中間利息控除)という運用がなされてきましたが、新民法417条の2、722条に明文化され、請求権が生じた時点の法定利率により計算することとされました。
第404条 (法定利率)
1項 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2項 法定利率は、年3パーセントとする。
3項 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、1期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4項 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5項 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0・1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。